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2008年(平成20年)のブログ「歌舞伎素人講釈」記事

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2008/1/1

明けましておめでとうございます。2008年はカラヤン生誕100年・そして吉之助の師である武智鉄二没後20年です。サイト開設8年目となりますが、まだまだ続きます。よろしくご声援ください。サイト雑談では「二代目左団次劇の様式論」をゆっくりと連載します。


2008/1/2

本年のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートはフランスのジョルジュ・プレートルの登場。さりげなく自己主張の強いところがワルツの遅い部分によく出ておりましたね。ちょっとテンポ遅そ過ぎに感じましたが。オケの柔らかい響きをよく引き出してロマンティックな表現でした。来年はバレンボイムの登場!ということで期待してます。


2008/1/5

年末年始に原稿を二・三本書くつもりでしたが、別途に泉鏡花の論考に取り掛かっており・そのせいで原稿が書けませんでした。したがって、明日(6日)メルマガ217号を出す予定でしたが、来週に延期をします。泉鏡花論の方はほぼ骨子ができましたので・追ってサイトに掲載します。


2008/1/8

本年の初メルマガ第217号は「摂州合邦辻」についての短い論考を明日お届けとします。サイト雑談の「左団次劇の様式」はだいたい3日程度の間隔で記事を追加していきますが、かなり長い連載になる予定です。間に別の雑談をはさむかも知れません。
「合邦庵室の倫理性」


2008/1/10

本年は「歌舞伎座120年」だそうですが、年表見ますと歌舞伎座開場は1889年(明治22年)11月21日なのですねえ。こういう時は数え年で数えるものなのかとひとつ勉強しました。


2008/1/12

先日のメルマガ第217号「合邦庵室の倫理性」は当初はプーシキンの「エウゲ二・オネーギン」と絡ませるつもりで書き出したのですが、構成が入り組んだのでシンプルにするため「合邦」の筋だけを切り離したものです。「合邦」に西洋文学を対照させるなら普通はラシーヌの「フェードラ」でしょうが、「オネーギン」を使うところが吉之助の味噌なのですが、「オネーギン」の方はそのうち別の記事の材料に使用することにします。


2008/1/15

イスラエルとパレスチナの和平に取り組む名指揮者バレンボイムが、パレスチナ自治政府から名誉市民権を与えられたそうです。バレンボイムはウェスト・イースタン・デヴァン・オーケストラを組織するなど・音楽を通じて民族対話に積極的に取り組んでいます。勇気の人ですね。


2008/1/16

文楽人形遣いの吉田文吾さん死去。このところ文楽はご難続きですが、残った人たちでがんばって盛り上げてもらいたいものです。合掌。


2008/1/19

明日のメルマガ第218号は現在サイトの「雑談」に連載中の「左団次劇の様式」の第1回をお届けします。全体はまだ完成してませんが、メルマガで4回に分けてお届けの予定なので・かなり長い論考になります。


2008/1/20

本日の「雑談」は「左団次劇の様式」連載に関連記事して、ノイエ・ザッハリッヒカイト(新即物主義)についての補足を載せました。
「左団次劇の様式:ノイエ・ザッハリッヒカイト」


2008/1/22

先日NHKで放送された団十郎の「100年インタビュー」という番組の録画を見ました。芸談としては目新しいところはなかったですが、「流行(はやり)に背を向けて・俺はこっち(反対方向)へ行くぜというのが本当の傾(かぶ)く精神である」(意訳)とおっしゃった点はさすがでありましたね。その通りだと思います。団十郎の茫洋としたお人柄がよく出ておりました。


2008/1/24

先日NHKで放送された「プロフェッショナル・仕事の流儀」という番組での・玉三郎を録画で見ました。幼い頃に病気を患った玉三郎は「いつ舞台に立てなくなるかという不安と戦いながら・明日の舞台を全力で勤められるか・ただそれだけ考えて・気がついたら50年やっていた」(意訳)と語っておりました。なるほどなあと感得いたしました。


2008/1/26

2月歌舞伎座は初代白鸚(白鸚を名乗った時期が短かったので・八代目幸四郎とつい言ってしまいそうです)追善ということで「関の扉」があります。歌右衛門(小町墨染)・梅幸(宗貞)との大顔合わせでの関兵衛の素晴らしい舞台を思い出します。


2008/1/28

初代白鸚は実の役者でありましたねえ。「元禄忠臣蔵」の内蔵助も・「井伊大老」も本物も多分こういう人物だったのだろうなあと思って見たものでした。2月に舞台にかかる由良助も直実もそうでした。
「実事役者・初代白鸚」


2008/2/1

本日は本の紹介。シューベルトと言えば昔は「水車小屋」の方が好きでしたが、この年齢になると「冬の旅」のことがとても気になって仕方がありません。梅津時比古著「冬の旅・24の象徴の森へ」(東京書籍)はこの歌曲集の深い理解の手引きとして出色の出来です。


2008/2/4

本日も本の紹介。ジェフリー・ペイザント著「グレン・グールド、音楽、精神」(音楽の友社)は、コンサート・ドロップアウト宣言をしたカナダのピアニスト:グレン・グールドの評伝ですが、とても刺激的で・考えさせられる材料がいっぱいあります。


2008/2/9

本日はメルマガの読者登録が急に増えたようで・どこかで「歌舞伎素人講釈」をご紹介いただいたようですね。まあ発行して8年立てば・読者の増減で一喜一憂ということはもはやないですが、読者が増えることは有難いことです。重い内容のメルマガですが・じっくり末永くお付き合いいただきたいものです。


2008/2/11

雑談の「左団次劇の様式」は大筋は出来てますが・サイトにアップする直前に細部に手を入れてまして・当初より3分の1ほど長くなりました。その分論旨は補強されたと思います。歌舞伎に限らず・シェークスピアから世紀末芸術論にまで絡むので・壮大なことになってますが、まあこういう展開も知的お楽しみと思ってお読みください。


2008/2/14

最近の「鏡獅子」は後シテの方に比重掛かったものが多いですが・獅子物はやはり前シテが良くてナンボだと思います。獅子物では極論すれば後シテは付け足しみたいなものです。今月歌舞伎座・「鏡獅子」の染五郎は初役でありましょうか・前シテがなかなか好評のようなのは嬉しいですねえ。舞台が見てみたいねえ。


2008/2/16

渡辺先生のサイト劇評で・「熊谷の物語りは相模を試験するというのは武智の説」とあるのは何のことかな。武智がどこかでそんなことを書きましたのでしょうか。しかし、「試験」はともかく・物語りの場面で熊谷が相模を意識しないなら吉之助はその熊谷は評価できませんねえ。
「勘三郎の熊谷直実」(この文章の勘三郎は先代です)


2008/2/17

11月にウィーン国立歌劇場が来日しますが・スター歌手勢揃いとは言え・S席が65,000円という・歌舞伎座なら1等席4回行けてまだ余る・常軌を逸した価格設定で驚きました。これなら歌舞伎を4回見た方がずっと価値があると思いますねえ。65、000円ならお弁当代も出るし。もうオペラには行かないかも。


2008/2/19

まだ「左団次劇の様式」は完結してませんが、サイトの「雑談」ではちょっと連載を中休みして・論考を書くに至った周辺事情を書き綴ってみました。
「左団次劇の様式」の周辺


2008/2/21

3月歌舞伎座で「団十郎と藤十郎という元禄以来の2大名跡が史上初の共演」という宣伝文句はちょっと苦しいと思いますけど・まっいいか。しかし、藤十郎の「道成寺」は見てみたいものです。団十郎は押戻しで出るそうです。


2008/2/23

遅ればせながら昨年METでライヴ中継もされたベルリーニの歌劇「清教徒」について・「音楽ノート」をサイトにアップしました。
吉之助の音楽ノート:ベルリーニ・歌劇「清教徒」


2008/2/25

2月歌舞伎座「七段目」初代白鸚の量感のある由良助とは違えども・幸四郎の由良助は虚と実の相克が見えて・なかなか良い出来でありました。この舞台については後日サイトに書きますので・乞うご期待。
「七段目の虚と実」


2008/2/26

染五郎の平右衛門と・芝雀のお軽の兄妹はなんだか真面目でしんみりしてましたが、この役はパーッと明るく発散する役なんだから・もっと元気に演りましょう。


2008/3/1

今月歌舞伎座では「一谷嫩軍記・組打」があって・最近比較的よく出るようですが、吉之助はどうもこの場だけだと筋が解決しない感じで・中途半端に思います。「熊谷陣屋」と合わせて半通しにする慣例をつくってもらいたいのですけどね。


2008/3/2

先月26日に平壌でマゼールとニューヨーク・フィルが公演した映像をインターネットで早速見ました。外交的成果は別として・全然別の世界の不思議な出会いで・見えない壁が見えるのが興味深いとは言えましたね。アンコールの「キャンディード」はマゼールが「指揮台に作曲者バーンスタインがいると思ってください」と言って引っ込んでしまって・指揮者なしでの演奏でした。あのパフォーマンスはNYでなら分かる話ですが平壌でとなると・・マゼールの真意や如何に。


2008/3/3

最近の吉之助は古い録音ばかりで・最新録音をあまり聴かないのですが、最近リリースされたダニエル・ハーディング指揮ウィーン・フィルのマーラー:交響曲第10番(クック版)(DG)は弦の扱いがとても魅力的で、これは同曲録音のなかでも注目すべき演奏だと思います。いい指揮者が出てきましたね。


2008/3/5

4日イタリアの名テノール・ジュゼッペ・ディ・ステファーノ死去。カラスとのコンビで素晴らしい録音をたくさん残してくれました。合掌。


2008/3/8

明日のメルマガ第222号は「左団次劇の様式」の第5回目で・どうやらこの論考も6回目で終了の目処がつきました。4回連載予定が長くなっちゃいました。司馬遼太郎が小説で「以下余談であるが・・」と書く気持ちがよく分かりました。もうちょっと説明しておかないと・という感じで文章が伸びていくのですなあ。この論考の続編「急き立てるリズム」の方も長くなりそうな気配が。


2008/3/9

月遅れになりましたが・サイトに初代白鸚の芸についてちょっと書きました。後にお届けする予定の「仮名手本・七段目」論に若干関連する部分があります。
実事役者・初代白鸚


2008/3/12

名指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの100回目の誕生日・4月5日が近づいてきましたので、サイトに吉之助の思い出話をちょっと書きました。
「ヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100年」


2008/3/15

来週22日の公開講座の資料準備がほぼ終わりまして・あとは大まかな話の流れを整える段階です。テーマは「世話とは何か」ですが、これは結局「時代とは何か」を考えるのと表裏一体ですから、時代物についても触れる予定です。


2008/3/16

11月にウィーン国立歌劇場が来日し・チケット予約は始まってますが・チケットが高すぎるのが納得いかず・どうも買う気になりません。買うならグルべローヴァの歌う「ロベルト・デヴリュー」ですが・演奏会形式だし、吉之助はウィーンでの舞台上演ビデオを持っていますから・とりあえずこれで十分。というわけで・しばらく静観します。


2008/3/17

四月歌舞伎座はまた「勧進帳」か。仁左衛門の弁慶とは言え。玉三郎の義経とは言え。


2008/3/18

4月歌舞伎座昼の部では「刺青奇偶」は勘三郎・玉三郎・仁左衛門と揃っているので良いでしょうねえ。「十種香」での時蔵の八重垣姫も見てみたいものです。


2008/3/20

いまNHKハイビジョンで・ベルリン・フィルの特番をやっていますが、確かにあの時代のベルリン・フィルは世界最高のオーケストラだと思いましたね。今はまあ「世界最高の」という形容詞自体に意味があると思わないですが。時代が変わったということもありますね。


2008/3/21

NHKの番組で本年1月ベルリンでのカラヤン生誕100年記念演奏会での小澤征爾指揮の「悲愴」の模様が放送されましたが、気合いが入ってとても良い出来でしたね。第四楽章は情念が渦巻いておりました。


2008/3/22

本日は池袋・自由学園で「歌舞伎素人講釈」公開講座を行ないました。テーマは「世話とは何か」でしたが・時代の表現の話の方が多かったような気もしますが、結局、時代を押さえておかないと世話も分からないわけです。ご参加いただきましたみまさまに御礼申し上げます。


2008/3/23

ほぼ3ヶ月にわたってサイト「雑談」に連載しました「左団次劇の様式」はめでたく完結しまして、今度は2月歌舞伎座での「忠臣蔵・七段目」幸四郎の由良助に関連した「七段目」論考を順次連載していきます。従来の歌舞伎の「七段目」評論とはまったく異なる視点のものだと思います。お楽しみに。


2008/3/27

今年は安藤鶴夫生誕100年でもあるんですねえ。安藤鶴夫原作・義太夫 「芸阿呆」(八世竹本綱大夫 十世竹沢弥七による) のCDが4月23日に発売されるそうです。この録音は吉之助が長年探し回っていたものです。これ是非聴いてみてください。台本は安藤鶴夫作品集・第4巻に収録。


2008/3/30

NHK2月歌舞伎座「鏡獅子」の舞台の放送を見ましたが、染五郎の弥生は振りの形を決めることへの意識があって・踊りがしっかりしていて・好感の持てる出来でありましたね。前シテが良いことは「鏡獅子」では大事なことなのです。


2008/3/31

日本最古級の桜として天然記念物に指定されている三つの桜、山高神代(やまたかじんだい)桜(山梨県)・根尾谷淡墨(ねおだにうすずみ)桜(岐阜県)・三春滝(みはるたき)桜(福島県)の苗木が、名指揮者カラヤン生誕100年を記念して・カラヤンのお墓のあるザルツブルク近郊のアニフの教会に植樹されるとのこと。大の親日家であったカラヤンだけに嬉しい話ですね。


2008/4/2

もうすぐカラヤンの100年目の誕生日ということで・NHK教育テレビの教養番組「知るを楽しむ」の今月のテーマはカラヤン。コメンテーターの天野祐吉氏は素直に分かりやすくカラヤンのことを語っておられて・若いファンには参考になったことでしょう。いずれ吉之助もカラヤンのメディア論みたいなのを書こうかなと思います。


2008/4/5

本日4月5日が20世紀を代表する名指揮者のひとりヘルベルト・フォン・カラヤンの100年目の誕生日です。各地でイベントがあるようですが、NHKでも記念番組放送があるそうなので・今日はそれを見ることにします。


2008/4/6

本日のメルマガ224号は「七段目」に関する論考(前編)は2月歌舞伎座の幸四郎の由良助に関する観劇随想なのですが・前半には幸四郎の名前が全然ないですねえ。吉之助の演劇随想は「劇評」ではなくて・舞台のことは材料に過ぎないのですが、後半は幸四郎がメインになりますから、ご期待ください。


2008/4/9

2006年トリノ冬季五輪開会式でパヴァロッティが歌った「誰も寝てはならぬ」は実は健康状態を懸念して事前に録音したもので・当日は口パクであったとの暴露ニュース。吉之助は「おっ、まだまだやれるぞ」と感激したクチでしてねえ・・・だまされたか・・でも許してあげるよ、ルチアーノ。


2008/4/10

成田山開基1070年祭記念大開帳記念の行事として、今月26日(土)に團十郎・海老蔵が奉祝参拝を行なうそうです。奉納演舞は「連獅子」だそうです。


2008/4/12

ワーグナー楽劇の本拠地「バイロイト音楽祭」のウォルフガング・ワーグナー総監督が、争いが続く後継者問題で・娘ら2人を後継指名し・決着を図る意向を示したとの事。これは決着というか問題先送りですなあ。そろそろバイロイトはワーグナー家の手から離れる時期ではないかな。


2008/4/14

6月歌舞伎座昼「新薄雪物語」通しは顔触れも揃っているので・平成歌舞伎のひとつの総決算として期待したいところですね。そう言えば「新薄雪」はサイトでまだ一度も取り上げてないですが、機会あれば何か書きたいものです。

宿命の恋の予感」、「身替わりになる者の論理


2008/4/16

昨日(15日)に幸四郎が「ラマンチャの男」1,100回目上演を達成だそうです。「ラマンチャ」と「勧進帳」は記録にとことんこだわっていますね。しかし、これだけ続けられるのはやはり大したものです。


2008/4/19

本日はペーター・コンヴィチュニー演出による歌劇「アイーダ」を見てきました。(渋谷・オーチャード・。ホール)この場合は「聴く」より「見る」ですね。いくつかの点でとても印象的な場面がありましたが、文章にするのはもう少し時間が経ってからにします。
コンヴィチュニー演出による歌劇「アイーダ」


2008/4/20

本日メルマガ第125号の「七段目」論を踏まえて、続編として「九段目」論を次回メルマガでお届けする予定ですので、お楽しみに。サイトの「雑談」の方はしばらく別の話題で行く予定です。


2008/4/23

本日は綱太夫・弥七による義太夫「芸阿呆」のCDを購入。晩年の先代勘三郎がこの録音に振りをつけて・舞台にかけたのを見てから・もう20年以上経ったわけです。そんなことなども思い出して感無量であります。


2008/4/25

5月演舞場は福助が初役のお岩さまで「四谷怪談」だそうです。歌右衛門の髪梳きはそれはそれは恐いものでしたが、福助はどこまで迫れるか・期待いたしましょう。伊右衛門は吉右衛門、与茂七は染五郎、お袖は芝雀。


2008/4/27

サイトの「吉之助の音楽ノート」では先日見たペーター・コンヴィチュニーの演出舞台に絡めてヴェルディの歌劇「アイーダ」について若干書きました。


2008/4/30

6月演舞場新派公演は、昼が仁左衛門参加で「婦系図」・夜が団十郎参加で「鹿鳴館」だそうで・これは面白そう。たまには新派も良いですね。歌舞伎座の方は「新薄雪物語」でこちらも気になるが。


2008/5/6

本年2月MET上演のプッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」(レヴァイン指揮)の映像を見ましたが、METの舞台はさすが素晴らしいですね。コンヴィチュ二ーのような演出もたまには良いですが、やっぱりオペラの舞台はオーソドックスが一番かと思います。吉之助が保守派なのかも知れませんが。


2008/5/8

5月演舞場の「四谷怪談」伊右衛門の吉右衛門は意外や初役だそうですが、いつもの色悪とはちょっと違う伊右衛門を見せてくれそうな期待もできそうですね。


2008/5/10

明日(11日)お届けのメルマガ第226号は「仮名手本忠臣蔵・九段目」論考を二回に分けてお届けします。これは前号の「七段目」論を踏まえた形で書かれたものです。
「九段目」における本蔵と由良助


2008/5/11

サイトの「吉之助の雑談」はしばらく音楽の話題でしたが、我が師である武智鉄二の没後20年が7月に近づいていますので、吉之助にとっての批評家・武智鉄二ということで近日よりゆっくりと随想風に連載をすることとします。
「伝統芸能における古典(クラシック)」


2008/5/14

玉三郎と・中国昆劇合同公演が北京で好評であるそうです。写真見ますと・会場になった湖廣会館はとても美しい劇場ですね。北京公演は6日〜15日とのこと。


2008/5/15

勘三郎のヨーロッパ公演の方も昨晩(14日)ベルリンから始まったようです。こちらの演目は「夏祭」だそうです。英語タイトルが「A Mirror of Osaka」(?)だって。歌舞伎も世界を駆け巡っているということですね。

歌舞伎の平面性〜次元の乖離


2008/5/17

本日はパリ・オペラ座のビデオでマスネの歌劇「ドン・キショット(ドン・キホーテ)」を見ました。このオペラはシャリアピンの得意役で有名ですが・近年あまり上演されませんが、なかなか面白いオペラでした。ドン・キホーテを歌舞伎に対照させるとすれば何になるでしょうかね。


2008/5/19

昨日はキーロフオペラ(ゲルギエフ指揮)の映像でチャイコフスキーのオペラ「スペードの女王」を見ました。原作はプーシキンの小説ですが、「オネーギン」も良いけれど・この「スペードの女王」もとっても素敵なオペラです。


2008/5/21

昨日(20日)午後ベルリン・フィルハーモニー・ホールで火事騒ぎがあったようです。大した被害ではなさそうですが、どうやら大ホールはしばらく閉鎖とのこと。


2008/5/23

8月歌舞伎座は野田秀樹・勘三郎の提携第3弾「野田版・愛陀姫(あいだひめ)」ヴェルディのオペラ「アイーダ」を古代エジプトから日本の戦国時代に設定を置き換え、敵対する2つの国・尾張と美濃の争いと政略結婚をめぐる男女の愛憎を描く内容だそうで。どんなものでしょうか。

分裂した他者〜野田版・愛陀姫


2008/5/25

文楽の伊達大夫死去とのこと。このところの文楽は悲しいことが続きますが、残った人たちには頑張ってもらいたいです。ご冥福をお祈りします。


2008/5/27

吉之助は野田秀樹氏の芝居はあまり知りませんが・「二ーベルングの指環」(ワーグナー)に題材を取ったものもあるようです。「アイーダ」(ヴェルディ)の翻案はどんなことになるのか・どのように同時代的要素を取るのか想像できませんが・興味あるところです。コンヴィチュ二ーの演出を見ておいたのが役に立ちそうです。

吉之助の音楽ノート:ヴェルディ・歌劇「アイーダ」


2008/5/29

ちょっと遅れたニュースですが・スカラ座を離れていたリッカルド・ムーティがシカゴ響の次期音楽監督に就任するそうで・ちょっとビックリでした。後期ロマン派〜現代物で良い演奏を期待したいと思います。


2008/6/1

検定ばやりの昨今・第1回歌舞伎検定(今回は4級のみ)が11月24日に行なわれるそうな。受験する方多いのでしょうねえ。


2008/6/2

昨日は79年のMETの映像(レヴァイン指揮)でクルト・ワイルの歌劇「マハゴニー市の興亡」を見ました。ブレヒトとの最後の提携作品で「アラバマ・ソング」が有名です。乾いた感触がワイルらしい作品ですが、アンチ・オペラとして機能しているかと言えばどうなんだろうねえ・これについてはもうちょっと考えてみたいと思います。


2008/6/6

8日発行のメルマガ第228号は現在歌舞伎座で上演されている「新薄雪物語・花見の場」についての論考をお届けします。「新薄雪」を「歌舞伎素人講釈」で取り上げるのはこれが初めてです。「合腹」もいずれ取り上げる予定ですが、今回はとりあえず「花見」のみ。

「宿命の恋の予感」


2008/6/7

7月歌舞伎座は玉三郎の「高野聖」だそうで・その昔に若き扇雀(現・藤十郎)が演じて大変な話題になったものですが、玉三郎は今頃どうしてこの芝居をやる気になったのかとそれが聞いてみたいですねえ。鏡花をやるなら他に演って欲しい芝居があると思いますが。

高野聖のたそがれの味


2008/6/10

歌舞伎座で上演されて好評だった「NINAGAWA十二夜」(菊五郎・菊之助ほか)が来年3月にシェークスピアの本場・英国ロンドンのバービカンシアターで上演されることが決まったそうです。きっとロンドンでも大きな話題になることでしょう。


2008/6/12

次号メルマガは前号の「新薄雪物語・花見の場」に引き続き「園部屋敷の場(合腹)」の論考をお届けすることとします。

「身替りになる者の論理」


2008/6/16

昨日はMET(1978年)の映像でレオンカヴァルロの歌劇「道化師」(レヴァイン指揮)を見ましたが、ヴェリズモ(自然主義)のことを考えているうちに歌舞伎と関連する興味深い点を見つけたので・いずれこれで論考を書くことになると思います。


2008/6/19

来月は吉之助の師匠である武智鉄二の没後20年ですので、現在サイトの雑談で連載している武智理論についての論考の前半をまとめて・次号メルマガでお届けすることにします。

「伝統芸能における古典(クラシック)」


2008/6/21

7月歌舞伎座では玉三郎らにより泉鏡花作品が上演される予定なので、現在サイトの雑談で連載中の「武智鉄二論」が終わり次第「泉鏡花」論の連載を始めることにします。鏡花論は以前に執筆を予告していたものですが・他のことをしていて・出来るのが遅くなりました。

「たそがれの味」


2008/6/25

「近松」  

メルマガでお届けするのはもう少し先になりますが、「近松門左衛門の世話悲劇論」を執筆中で・ほぼ半分くらい出来たところです。19世紀西欧のヴェリズモ(現実主義)との絡みで書いており・いままでの近松論にはない視点かと思います。ご期待ください。


2008/6/28

「逍遥」  

本日は近くに用事があったので・久しぶりに早稲田の演劇博物館に寄って来ました。坪内逍遥が朗読した「沓手鳥孤城落月」録音を聴きましたが、さすがに巧いものですねえ。


2008/6/29

本日はヴェリズモ・オペラの代表作・マスカー二の「カヴァレリア・ルステカーナ」のヴィデオをムーティ指揮(1996年)で見ました。さすがに彫りの深い巧い指揮です。ヴェリズモというのは歌舞伎で言えば世話物という意味です。


2008/6/30

このところ検索で「アイーダ」とか「歌舞伎とオペラ」で歌舞伎素人講釈へお越しの方が増えてきまして・8月の野田秀樹/勘三郎の「愛陀姫」の予習でありましょうか。野田氏が「アイーダ」をどうやって歌舞伎にするか吉之助には見当つきませんが、「心中物」にするのもひとつの手ですね。


2008/7/1

10月15日東大寺の奉納大歌舞伎公演が幸四郎の「勧進帳」の1,000回目になるそうです。七代目は1,600回弁慶を演じたと言われていますから・次はそれ目指しますか。


2008/7/2

サイト「雑談」は武智鉄二論の連載を終了しましたので・近日に「泉鏡花論」の連載を開始します。戯曲だけでなく・小説も通覧しますが、主として「草迷宮」と「夜叉ヶ池」になると思います。まだ全部出来てないので・もしかしたら今月の歌舞伎座にかかる「高野聖」も取り上げるかも知れません。


2008/7/5

明日のメルマガは前々号129号の「新薄雪物語・合腹」論の追加章と・前号の「武智鉄二論」の後半との2本立てにてお届けをします。


2008/7/7
 

中村福助インタヴューより『歌舞伎は能も狂言も長唄も落語も何でも取り入れちゃっているでしょう。ある意味、パラサイト(笑い)。』、福助さんはなかなか面白いこと言いますねえ。その通りだと思います。

どらくインタヴュー:中村福助
 


2008/7/8

パラサイトということは「借り物である・自立していない・本質が欠けている」ということで、歌舞伎のある一面を示しています。もっとも福助さんはそういう意味で言ってるのではないようですが、なかなか興味深いキーワードになると思います。


2008/7/10

8月歌舞伎座の「愛陀姫」ではオペラの「アイーダ」の旋律を下座で生かすとか。どんなものか見当つきませんが、野田さんのことですから・いろいろアイデアあるのでしょう。「歌舞伎素人講釈」はオペラと歌舞伎を大きなテーマにしていますから・こうなると吉之助は何か書かないわけにはいかないですね。

歌舞伎座 八月納涼大歌舞伎 製作発表記者懇親会

 


2008/7/12

このところ暑くなって来ました。吉之助は暑いのが苦手で・毎年夏になると筆が鈍ります。出来かけの原稿はいくつかありますが、現在サイトの「雑談」で連載中の泉鏡花論が終わりましたら・次は「歌舞伎の台詞のリズム論」(仮)をゆっくりペースで手がける予定です。これは1〜3月に連載した「左団次劇の様式」の続編になるものです。


2008/7/13

本日・毎日新聞・「今週の本棚」に団十郎の文章が載っていました。団十郎は茫洋として・本質を大きく掴み取る人ですねえ。だから荒事が大きいのですね。治療入院なさるそうですが・十分静養して復帰いただきたいものです。


2008/7/16

のんびりしていたら・8月歌舞伎座の第3部はさすがに売れ行きが早いですね。ちょっとあわてましたが切符は確保しましたので・材料があれば「愛陀姫」について書くつもりです。

分裂した他者〜野田版・愛陀姫


2008/7/18

今月歌舞伎座の「高野聖」は大道具さんご苦労さんの一幕。石川耕士脚本は原作をよくまとめましたが・小説の内面描写を芝居に期待するのはやはり至難でした。玉三郎の露出度もいまひとつ。いずれ「高野聖」(芝居というより小説について)はサイトで取り上げる予定です。

高野聖のたそがれの味


2008/7/19

明日発行のメルマガ第232号は泉鏡花論の前半部分をお届けします。「たそがれの味」で読む視点は、鏡花作品の解釈に新たな可能性を拓くものであると思っています。

「たそがれの味」


2008/7/23

「鏡花」  

このところ暑いのでちょっと参りましたが、現在連載中の「泉鏡花論」には「高野聖」は含めないことにして・これは別途単独論考で書くことにします。観劇随想ですが・芝居よりは小説(原作)のことが多くなるでしょう。


2008/7/26

NHKで本年5月歌舞伎座の「弁天小僧」通しが放送されたので・期待して見ましたが、菊五郎(弁天)も左団次(南郷)も重ったるくて・まるで時代の「浜松屋」。これも歌舞伎保守化の流れであるかな。


2008/7/27

「夏祭」  

NHKハイビジョンで勘三郎の「夏祭」本年5月ベルリン公演を見ました。歌舞伎が初めてのベルリンっ子には新鮮であっただろうと思います。串田演出は面白い点がいくつかあるのだが、役者の表情演技過多はもう少し抑えた方がよろしいのでは。その方が歌舞伎らしくなると思いますが。

歌舞伎の平面性〜次元の乖離


2008/7/29

このところ暑くて・筆が鈍り気味。テレビで見た「弁天」と「夏祭」については観劇随想を書きたいと思いますが、現在は「泉鏡花論」その他の原稿に取り組んでいる為、時期は少々遅くなりますが・そのうちサイトに掲載しますのでお待ちください。


2008/7/30

ワーグナーが得意で・N響の客演指揮でも知られたドイツの指揮者ホルスト・シュタイン氏が死去とのこと。吉之助の印象に残っているのはウィーン・フィルを指揮してグルダと録音したベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の録音(デッカ)かなあ。ご冥福をお祈りします。


2008/8/3

昨日はNHKハイビジョンで玉三郎のドキュメンタリーなどがまとめて放送されたので・それらを断片的に視聴。玉三郎は歌舞伎の女形という存在を越えた稀有な役者であること改めて痛感。「楊貴妃」も興味深く見ました。いずれは「歌舞伎素人講釈」でも玉三郎を真正面から取り上げねばなりませんが、それはもうちょっと先の話か。


2008/8/5

10月に浅草・浅草寺境内での平成中村座「忠臣蔵」通しに仁左衛門参加とのこと。興味深いのは四つのプログラムのなかに「大序・二・三・八・九段目」というのがあることです。加古川一家の筋が明確になるということで・これは面白ろそうです。


2008/8/6

平成中村座に参加予定の仁左衛門が「私は新しいのは少し苦手・普通にやらせてくれ」と勘三郎に頼んだというのは、ちょっと微笑ましいエピソードですね。


2008/8/9

北京オリンピック開会式。チャン・イー・モウ監督の演出は素晴らしかったですね。やっぱり中国は大きい国だなあと思いました。


2008/8/11

サイトの雑談に勘三郎のベルリンの「夏祭」のことをちょっと書きました。と言うよりも吉之助のベルリンの壁の思い出話と言うべきかな。勘三郎の「夏祭」については別途観劇随想を書く予定にしています。

「ベルリンの壁」


2008/8/15

暑い日が続きますねえ。先月(7月)歌舞伎座の「高野聖」についての観劇随想をサイト「雑談」にゆっくりと連載します。もっとも前半は芝居ではなくて・小説のことですが。これは「泉鏡花論」の続編的なものです。

「高野聖のたそがれの味」


2008/8/18

03年に脳梗塞で倒れた猿之助の病後初めての演出作品「新・水滸伝」(二十一世紀歌舞伎組公演)が上演されるそうです。さらに舞台復帰を目指して頑張って貰いたいものです。


2008/8/21

「愛陀姫」を観て来ました。せわしない感じが若干あって・もう少し筋を膨らませても良い気がしましたが、このスピード感が野田歌舞伎なのでしょう。原作をコンパクトに・野田秀樹的に翻案していて興味深く見ました。いずれ観劇随想を書く予定ですのでお楽しみに。

分裂した他者〜野田版・愛陀姫


2008/8/23

明日のメルマガ(第234号)は「高野聖」の件をお届けしまして・サイトの「雑談」の方は「アイーダ」・「愛陀姫」の観劇随想に近日着手します。「歌舞伎素人講釈」で歌舞伎とオペラの関連をずっと考えてきた吉之助ならではの論考にご期待ください。本日の「雑談」の「アイーダ」の記事はその前座です。

「高野聖のたそがれの味」


2008/8/25

先日の「雑談・シミオナートのアムネリス」のなかで谷崎潤一郎は昭和56年第1回NHKイタリアオペラの「アイーダ」を見たと推測される旨書きましたが、事実その通りであったことを大坂のSさんから教えていただきました。併せて第2回イタリアオペラに関する武智鉄二の文章もいただきましたので「雑談」の内容を一部書き変えました。有難く御礼申し上げます。


2008/8/26

サイトの「雑談」に「アイーダ」と「愛陀姫」の論考をゆっくりと連載始めます。当初予定より長いものになりそうです。


2008/8/31

今月21日にグルジア領オセチア自治州の首都ツヒンパリで同地出身の指揮者ゲルギエフが・グルジア紛争の犠牲者追悼コンサートを開催しましたが、破壊された議事堂前での野外コンサートの映像を見ました。ショスタコービッチの「レニングラード」交響曲の第1楽章は聞き手に突き刺さるようでした。実に強い音楽だと感嘆しました。


2008/9/1

明日が初日の歌舞伎座・秀山祭、吉右衛門さんは松右衛門・盛綱に河内山と大役3役の奮闘公演ですが、せっかく玉三郎が同座するのに・ふたりがしっかり絡む演目を見せてもらいたいものです。初代と歌右衛門の共演の演目がいろいろあると思いますがね。


2008/9/3

9月演舞場の「加賀見山」は時蔵の尾上・海老蔵の岩藤・亀治郎のお初というなかなか興味深い配役になりました。その成果を期待したいところです。


2008/9/4

今月は歌舞伎座・演舞場のほかにも赤坂歌舞伎・三越歌舞伎があるそうです。その昔・ガラガラの劇場で歌舞伎を見てきた吉之助にはこの盛況がにわかに信じられません。いつまでもこの状態が続くとは思えませんが、こういう得がたい機会にこそ・しっかり芸を磨いてくださいとお願いしたいところです。


2008/9/6

明日発行のメルマガ(235号)はサイトの「雑談」に連載中の「アイーダと愛陀姫」の前半部分をお届けします。当初予定では一回で出すつもりでしたが、音楽に言及する部分が多くなり・文章が長くなってしまったので3回に分けることにしました。


2008/9/11

11月平成中村座はまた「法界坊」だそうで。10月の「仮名手本」はなかなか面白い試みなのですが、東京では貴重な小芝居空間なのですから11月も同様に工夫をした企画が欲しいところでしたが。いろいろ材料はあると思いますけどねえ。


2008/9/14

寄り道などしながら書いていたので・時間が掛かってしまいましたが、現在サイト「雑談」に連載している「アイーダと愛陀姫」については出来上がりました。残りを順次サイトに掲載することとして・メルマガでは全体で3回でお届けすることになりますが、当初予定よりかなり長いものになりました。オペラと歌舞伎の心情の類似についてかなり突っ込んだ論考にできたと思います。


2008/9/17

10月歌舞伎座では「本朝廿四孝・十種香〜狐火」が玉三郎の八重垣姫で掛かるそうなので、「愛陀姫」の次は「廿四孝」論考に取り掛かることにします。「廿四孝」は「歌舞伎素人講釈」ではまだ取り上げていなかった作品でした。


2008/9/20

ウィーン・フィルと来日中のムーティが・17日のカラヤン生誕100年記念の講演会でカラヤンの思い出を語り、古代ギリシアの格言を引いて・「美しいことはすでに正しい」を実践した人物であったと語ったそうです。なるほど。


2008/9/21

来年(2009)は日英修交150年だそうで・歌舞伎「NINAGAWA十二夜」が3月ロンドンで上演されるのもそうしたご縁なんだそうです。正直申し上げると・昔の「NINAGAWAマクベス」の方がずっとカブキ的で刺激的だったと吉之助は思いますが、「十二夜」の方はちょっとお上品ですかね。しかし、ロンドンっ子には受けるでしょう。


2008/9/22

ちなみに「NINAGAWAマクベス」というのは昭和55年(1980)2月日生劇場での初演で・平幹二郎のマクベス・栗原小巻のマクベス夫人でしたね。ずいぶん昔の話になりました。こんな風に歌舞伎座でシェークスピアやれないものかと思ったものでした。


2008/9/25

二期会の「エウゲニ・オネーギン」でのコンヴィチュニー演出がなかなか好評だそうです。残念ながら吉之助は見ることは出来ませんでしたが、タチアーナ中心に見勝ちなこのオペラを・オネーギン視点で読み直したということだそうで・興味深いものです。


2008/9/27

久しぶりに「歌舞伎素人講釈を読むためのガイド」に「大石内蔵助」の項を追加しました。それにしても「忠臣蔵」の関連記事が随分たまったもんですねえ。こうして総括してみると・全体の論旨も一貫していて・「忠臣蔵」の論考集としてかなり役に立つものになったと思います。
「歌舞伎素人講釈を読むためのガイド:大石内蔵助」


2008/10/1

今月歌舞伎座は菊五郎さんの「魚屋宗五郎」が出ますが、昔と比べると近頃「魚宗」が良く出る(勘三郎・幸四郎・三津五郎など)ようですが、気のせいか。何か現代にアピールするところあるのでしょうかね。吉之助は二代目松緑や翫右衛門の舞台を思い出しますが、菊五郎さんの宗五郎はどんなものでしょうか。


2008/10/3

サイトで連載の「アイーダと愛陀姫」がやっと完結、メルマガ3本分の長いものになりました。気が付けば役者の演技にまったく触れておりませんね。「愛陀姫」には他にも触れたいことがありましたが、今回は歌舞伎の悲劇論に焦点を絞ったため・それは別の機会にしたいと思います。


2008/10/4

「乱歩」  

11月国立劇場は江戸川乱歩の小説「人間豹」を歌舞伎化・舞台を昭和初期から江戸時代に移し・明智小五郎が江戸の町を走る「江戸宵闇妖鉤爪」(えどのやみあやしのかぎつめ)・しかも染五郎が大凧で宙乗りだそうです。どんな歌舞伎になるでありましょうか。


2008/10/7

今週はNHKハイビジョンでNYメトロポリタン・オペラ(MET)の舞台録画5本の放送があるので、これは録画してじっくり見たいと思っています。本日はグノーの「ロメオとジュリエット」ですが・ネトレプコのジュリエットは今風に自由闊達でとても魅力的です。アラーニャのロメオも良いですね。


2008/10/11

世界経済激動の折歌舞伎どころではないのだけど、浅草で平成中村座の「忠臣蔵」が上演中です。歌舞伎の舞台として本来のサイズで芝居が見られると思います。当然芝居の感覚も歌舞伎座でやる時と変わらなければなりませんが、その辺どうなっているか興味あります。


2008/10/13

歌舞伎検定もうすぐ受付締め切りだそうですが、試験を受ける方は多いのでしょうねえ。4級練習問題を見る限りでは・「演劇界」を3年程度熟読してる方ならまあクリアかと思われますが、チェックするには良い機会かも知れません。しかし、芝居を見る目を養うにはまず劇評を読んでみることです。自分の見た芝居の劇評ではなくて・見てないずっと昔の劇評。


2008/10/14

12月歌舞伎座で三津五郎が「娘道成寺」を踊るそうです。2年前に一日だけ特別公演で踊りまして・テレビ放映もされましたが、本興行では多分初めてでしょう。これは踊りに関心のある方には特にお勧めをしたいと思います。模範的にいい踊りです。


2008/10/17

本日は本の紹介。亀山郁夫著「『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する」(光文社新書)はなかなか知的刺激があって面白い本です。「カラマーゾフ」についてはそのうち何か書いてみたいと思っていますが・いずれにせよもう一回作品を読み直してからの話ですが、この新書はその時に役に立ちそうな本です。


2008/10/18

「近松」  

本日は紀伊国屋ホールでの巣林舎公演「ふたり静胎内さぐり」を見てきました。近松の時代物は現代でも強烈に来ますねえ。解説の鳥越先生は「近松はクリスチャンじゃないけれど・本作には贖罪のテーマがある」と仰いましたが、まさにその通り。役者さんも懸命に演じていて・良い出来の舞台です。歌舞伎にはまだまだ埋もれた素材が沢山あります。


2008/10/20

しばらく動きがなかったのでどうなったかと思ってましたが、歌舞伎座が全面建て替えのため・2010年4月を以って閉場。新劇場開場は2013年の予定とのこと。とにかく今以上に大きい小屋にはしないで欲しい・できれば小さめにして欲しいのですがね。3階席から花道七三が見えない構造は改めて欲しい。ロビーは国劇の殿堂にふさわしく広く取って欲しい。そんなところかな。


2008/10/22

サイトに「連載コーナー」を新設することにして、これで長文論考と雑談を分ける形になります。まずは懸案であった「本朝廿四孝」連載から始めることにしました。これはワーグナーのオペラとのコラボレーションですが、これまでにない視点の「廿四孝」論に仕上がる予定です。ご期待ください。
「超自我の奇蹟」


2008/10/25

来月(11月)の平成中村座は「法界坊」。たぶん勘三郎は「法界坊」と「夏祭」の従来型は今後も演らないで・ずっと串田演出で演って行くつもりなのでしょうねえ。まあそれもひとつの姿勢ではありますが。


2008/10/26

「2010年4月を以って歌舞伎座閉場」というのに・早々2009年1月から「さよなら歌舞伎座」興行なんだって。普通は直前2−3ヶ月だと思いますが、松竹さんさすがに商魂たくましい。しかし、今年の「歌舞伎座120年」も企画としてそう特別なことはなかったように思いますが、来年はスペシャルな企画を組んでくれるのでしょうかね。


2008/10/27

来月(11月)歌舞伎座は三代目時蔵50回忌で久しぶりに「嫗山姥」が出て・当代時蔵が八重桐を演じるので期待したいと思います。三代目時蔵は映像でしか知りませんが、古風な味がある女形でありましたね。


2008/10/28

小沢征爾さんに文化勲章・中村富十郎さんに文化功労者の授賞が決まったそうです。おめでとうございます。小沢さんはちょうど音楽監督しているウィーン国立歌劇場を率いての凱旋公演のタイミングでしたから二重の喜びですね。


2008/10/29

11月演舞場の「先代萩」で菊之助が初役で政岡を勤めるのだそうで・ちょっと驚きましたが、松竹の菊之助へ寄せる期待かなりのものということだと思います。この大役をどう演じるかということにも興味はありますが、ともかくこの機会を大事に一生懸命頑張って欲しいですね。


2008/11/1

「逆櫓」  

サイトの雑談に9月歌舞伎座「逆櫓」についての随想を掲載しました。これまでの観劇随想はある程度の分量になりそうにない時は材料として捨てていましたが、これからは折に触れて雑談に掲載していきます。また過去の舞台についても載せて生きますので・お楽しみにしてください。


2008/11/3

11月歌舞伎座では久しぶりに「盟三五大切」が掛かります。歌舞伎でのこの芝居の成果は源五兵衛(実は不破数右衛門)が「こりゃかうなうては叶うまい」の台詞を観客がそのように聞けるかどうかですね。さて今回はどんなものでしょうか。源五兵衛は仁左衛門・三五郎は菊五郎・小万は時蔵。
「人格の不連続性」


2008/11/4

今月の「盟三五大切」上演では「こりゃかうなうては叶うまい」の台詞がカットされてるらしいですねえ。幕切れを非情に重くできなければ・「忠臣蔵」との綯い交ぜは意味をなさないのです。これは三角屋敷をカットする最近の「四谷怪談」でも同じことですが、こういうことがもう風化して分からなくなっているのでしょうか。


2008/11/8

明日(9日)のメルマガ239号は「超自我の奇蹟〜本朝廿四孝」の論考をお届けします。本稿はワーグナーの「さまよえるオランダ人」とのコラボレーションですが、これでワーグナーとのオペラを4本歌舞伎との関連で取り上げたことになります。他は「ローエングリン」・「トリスタン」・「マイスタージンガー」です。


2008/11/9

本日の毎日新聞に「好きなもの」と題する菊五郎さんのコラムがあって・好きなものの二番目が「夜のクラブ活動」だそうです。相変わらずお元気そうで・ご同慶の至りです。今月の夜の部は「船弁慶」の静御前と知盛の霊ですね。クラブ活動の時間はたっぷりありそうです。


2008/11/14

「仁木」  

今月(11月)演舞場の海老蔵の刃傷の仁木がなかなか評判良ろしいようですねえ。十一代目団十郎の仁木の写真は鬼気迫る素敵なものですが、あんな感じでありましょうか。


2008/11/15

「閉店」  

銀座の奥村書店に続き・神保町の豊田書房が本日で閉店なんだそうで・吉之助の伝統芸能関連の古書の大抵はここで買ったものなので・困った困った。インターネットで買えるからといっても・やっぱり本は内容良く見て選びたいのですよね。まあ時代の流れか。


2008/11/16

来週22・23日にJR大宮駅南口・特設舞台にて山形県酒田市の県無形文化財指定の黒森歌舞伎の公演が予定されています。演目は「車引」だそうです。大宮駅前では地元の神社境内での奉納芝居の雰囲気を味わうわけには行きませんが、酒田市まで出向けない方には良い機会ですね。


2008/11/17

サイト連載を「歌舞伎の平面性」というタイトルで始めました。これは最初の方では分かりませんが・この文章はそのうち本年5月勘三郎のベルリンでの「夏祭」についての随想に展開して行きます。そういう設計ですので・お楽しみください。


2008/11/22

来年2月浅草公会堂で「歌舞伎ルネサンス」公演として朝丘雪路さんが政岡を演じる「先代萩」が上演されるそうです。女形の大役・女形ならではと思える役ですが、女優がどこまで迫るか・あるいは別の境地を拓くか・いずれにせよ挑戦でありますね。
「萬夜一夜先代萩」


2008/11/24

ベルリン・フィルが定期公演をハイビジョンでネットで生中継する「デジタル・コンサート・ホール」という企画を発表しました。シーズン券149EURで日本に居ながら・あなたもベルリン・フィルの定期会員ということで、これは面白いことになってきました。一回券もあり。この試みは他のオーケストラにも広がるでしょうねえ。


2008/11/28

12月歌舞伎座の「佐倉義民伝」、幸四郎さんは近年世話物を取り上げることが多いようですが・これはシリアスな作品なので宗五郎は幸四郎さんの芸風に合っているでしょう。成果を期待したいところです。


2008/12/2

歌舞伎学会誌「歌舞伎・研究と批評」の最新号(41号)の神山彰氏の「歌舞伎のイメージの変質」が面白いです。まあ何と言うか・愚痴大会ですが、しかし、その気持ちはよく分かります。ただここに書いてある嘆き節がどれだけ世間に理解されるかという気がしますが。


2008/12/4

幸四郎さんが佐倉宗吾を演じるのは昭和60年以来24年ぶりのことだそうです。その舞台は見ましたが、もう24年も経ちましたか。宗吾の犠牲の精神は今の世相からは遠いかも知れませんが、観客がそういうことの尊さをちょっとでも感じてくれれば良いですねえ。


2008/12/7

吉之助は何本か製作されたシネマ歌舞伎を見ておらぬのですが、玉三郎が面白いことを語っていますね。「道成寺」の音楽だけの場面に別の踊りの映像を合成で挿入したそうです。見てないので・その効果のほどは想像するしかありませんが、映像は舞台と別ものですから・そういう可能性もあり得るかも知れませんね。


2008/12/10

今月歌舞伎座の三津五郎の「娘道成寺」は期待通り良さそうですが、吉之助は年末は仕事が忙しくて行けませんので・歌舞伎チャンネルでの放映を楽しみにしています。いつもの「道成寺」と歌詞や振りもちょっと異なりますが、そういう点の考察もさることながら・三津五郎の基本がしっかりしたクラシックな趣の踊りをじっくり味わいたいものです。


2008/12/11

本日は松岡正剛氏の漢字学者・白川静についての講演を拝聴。いろいろとヒントを戴きました。サイトの雑談に書きましたが、松岡氏が若い頃に発行していた雑誌「遊」に吉之助は強い影響を受けております。


2008/12/12

今月は行かないつもりでしたが・三津五郎の「道成寺」はやはりこの眼で見ておきたいので本日見てきました。三列目正面が取れましたので・踊りをじっくり堪能できました。このことはいずれサイトに書きたいと思います。今月の昼の部はどの演目も良い出来です。


2008/12/16

今月(12月)歌舞伎座の「佐倉義民伝」は幸四郎ほか皆さん出来が良くて・堪能しました。子役の三人の子供さんたちにご褒美あげてください。「義民伝」についてはいずれ機会を見て何か書きたいと思います。

子別れの乖離感覚〜佐倉義民伝


2008/12/20

来年1月から始まる歌舞伎座さよなら公演のプログラムが2月まで発表されましたが、これが先日松竹が募集していた好きな演目アンケートの結果なのでしょうかね。まあ確かに過去に話題になった演目が網羅されてはいるが、ちょっと総花的ではないか。もうちょっとじっくり見せる演目立てはないものですかねえ。


2008/12/21

年末は何かと気忙しいことが多く・サイトの「連載」の方がなかなか進みませんでしたが、連載中の「歌舞伎の平面性〜勘三郎の夏祭・ベルリン公演」の方は目処がついたので・年内に完結できると思います。年内にメルマガもう一本発行と思いましたが、こちらは無理そうです。


2008/12/23

サイト連載の「歌舞伎の平面性〜勘三郎・ベルリンの「夏祭」」論考は6回目を若干加筆し・7回目に以前8月に雑談に掲載した「ベルリンの壁」の文章を転用して・これで結末付けることとしました。次の連載は近松の「殩静胎内捃(ふたりしずかたいないさぐり)」を予定しています。


2008/12/25

松竹が募集していた「好きな歌舞伎20選」の第一位はやっぱりと言うべきか・さすがという言うべきか「勧進帳」であったそうです。応募数1万5千で得票数18百でダントツ。応募者の7割が女性のようですが・「勧進帳」に入れそうなのはどちらかと言えば男性のように思いますが、その辺はどうなのですかねえ。


2008/12/26

歌舞伎座さよなら公演記念企画「好きな歌舞伎20選」のアンケートのことですが、応募者の6割強が50代以上だったというのはちょっと意外でしたが・50代以上の恐らく20年以上歌舞伎を観てる方はそれだけ現在の歌舞伎座の小屋に思い入れが強いということなのでしょうねえ。


2008/12/27

サイトの連載は年またぎになりますが・「巣林舎の「殩静胎内捃」」についての随想をゆっくりと書き始めました。本稿はメルマガでは題名に正しく表示できない漢字(殩・捃)があるため・メルマガでのお届けはせず・サイトのみの公開といたします。


2008/12/29

タイミングを逃してそのままお蔵になっていた原稿を完成させて順次掲載していきます。まず平成17年に行われた福助の特別公演「女と影」についての観劇随想を掲載しました。
「西洋と東洋の出会い〜クローデルと五代目福助」
 


 

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