「歌舞伎素人講釈」を読むためのガイドについて
おかげさまで、サイト「歌舞伎素人講釈」も開設七年目を半ば過ぎ、アクセスも20万件をもうすぐ越えるところまで来ました。メルマガも既に通算200号を越えました。内容的に言えば、もう他に類例のない、独自の立場を主張できるサイトに成長したと思います。
この「歌舞伎素人講釈」が目指しているのは、読者が歌舞伎や文楽など伝統芸能の主体的な鑑賞の視点を確立するためのヒントを提供することです。吉之助の目標はいわゆる「見巧者」ではありません。初代吉右衛門は周囲の若い人に「君は見巧者に絶対なるなよ。私たち役者は見巧者っていうのを軽蔑しているんだ」とよく言っていたそうです。だから吉之助の目指しているのは見巧者ではなくて、「違いの分かる男」であります。そういうテレビCMがその昔ありましたねえ。CMに出ていたのは若き日の二代目吉右衛門であったなあ。お分かりの通り 、「吉之助」というペンネームは吉右衛門(この場合は初代です)の「吉」から取っているのです。しかし、もちろん吉之助は初代の舞台を見ておりません。(吉之助が生まれる前に亡くなってますので。)
このサイト「歌舞伎素人講釈」の記事を全部読んでいただければ・その情報量はかなりのものだと思います。学問的なことを言えば他にいろいろ本はありますが、このサイトはかなり深く、かつ実践的で役に立つ内容になっているはずです。しかし、吉之助自身が主体的な鑑賞者を目指しているその途中を記事にしているので内容は結構難しいと思います。しかも、記事の量もだいぶ多くなりましたし、記事がリンクで入り組んでいるし(ここがITの特性を生かした部分なんだけど)から、どこから読み始めたら良いか分からないということもあるかと思います。
歌舞伎を系統立って学んでいくことは難しいことでして、とにかく時間が掛かります。「歌舞伎素人講釈」を読みこなす一番良い方法は、お芝居を見た後(もちろん事前でも結構)・「歌舞伎素人講釈」のサイト内検索で関連記事を当たって読んで見ることですが、そう都合よく演目が順番に上演されるわけでもありません。それと吉之助の記事は内容が入り組んで、相互に関連していますから、なかなか読みこなしが難しいかも知れません。まあ、しかし、無理に分かろうとせずに、分かる部分だけ拾い読みして、分からん部分は流すのが賢明です。そうやって役に立つ部分だけつまんで読めばヨロシイのです。読者は我が儘でヨロシイのです。そのうち「吉之助の言っていることはよく分からん」と思った箇所も、後でまた読んでみれば、ああそういう意味であったかと分かることもあるかと思います。
ですから、折に触れてお気楽に、つまみ読みで、繰り返し記事を読んで頂くのが、吉之助としては「歌舞伎素人講釈」の良い楽しい読み方かなと思っています。
そういうわけでサイト20万アクセスを記念しまして、新コーナー「「歌舞伎素人講釈」を読むためのガイド」を新設することにしました。これは「歌舞伎素人講釈」のなかから重要なキーワードを選んで、まずその概念の全体 をおおまかに掴んでいただいたうえで、記事の細部に入っていただくためのガイドであります。これを取っ掛かりにして、リンクの記事へ進んで、「歌舞伎素人講釈」の森のなかへ入っていただきたいと思います。まずは「女形」を取り上げることにしまして、さらに順次キーワードを取り上げていくことにします。項目は折に触れて追加していきます。
(H19・7・22)