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アントニーノ・ヴォットーの録音


○1953年ライヴ

ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェ二エ」

マリオ・デル・モナコ(アンドレア・シェニエ)、マリア・カラス(マッダレーナ)、アルド・プロッティ(ジェラール)

ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
(ミラノ、ミラノ・スカラ座)

錚々たるキャストなので、さすがに演奏は充実しています。まず第一にプロッティのジェラールが声の張りと力強さが素晴らしく、第3幕の「国を裏切る者」は圧巻の名唱です。デル・モナコは当たり役だけに見事なものです。カラスのマッダレーナももちろん第3幕の有名な「亡くなった母が」など掘り下げが素晴らしいのですが、デル・モナコがどちらかと云えばストレートで押しまくる行き方なので、心理主義的に繊細なカラスの行き方が微妙にマッチしていない感じもあります。ただし、最後の二重唱を除けば、二人の役が音楽的にぶつかり合う場面は意外と少ないので、あまり気にはなりませんが。ヴォットーの指揮は簡潔で、テンポを速めに取って、余計な思い入れを入れずスッキリとした造型で、手際の良い指揮でまとめています。


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