トスカニーニの録音(1933年)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
(ニューヨーク、カーネギー・ホール)重厚なニューヨークのフィルの響きは、ヨーロッパのオケを聞いている 気分にさせられます。残念ながら録音状態は良好とは言えませんが、演奏は歯切れの良いトスカニーニの指揮と相まって優れたものになっています。リズムの鋭角的な刻みを全面に押し出したNBC響との演奏とはまったく別の魅力があります。第1楽章提示部の繰り返しをしていないのが興味深いですが、これで構成がより簡潔で密度の高いものになっているようです。全体的に早めのテンポを一貫させていますが、四つの楽章のテンポ設計も納得がいくもので、全体が緊密に構成されて古典的美しさを感じさせる演奏になっています。