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ムスティスラフ・ロストロポービッチの録音


○1977年11月18日−1

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

アイザック・スターン(ヴァイオリン独奏)
ナショナル交響楽団
(ワシントン、ケネディ・センター、米CBSスタジオ録音)

安直に使いたくない表現ではありますが、ロシア情緒という言葉が脳裏に思い浮かぶ演奏です。豊かな情感と色彩感のなかに、ちょっぴり哀愁が漂っているのがロシア的ということでしょうか。センチメンタルな哀愁ではなく、もっと豊かな感覚ではありますが。スターンのヴァイオリン独奏は、艶のある音色と、息深く線の太い歌い回しが素晴らしいと思います。ロストロポービッチのサポートもスターンとよく息の合った指揮ぶりで、音楽の振幅が実に大きいのですが、ただスケールが大きいのではなくて、そこに情感がぎっしり詰まった感じなのです。第1楽章もふくよかな味わいのある演奏ですが、このコンビの良さが出ているのは、リズム感のある第3楽章です。とにかく音楽が生き生きとしており、スケールが大きく色彩的なのです。


○1977年11月18日−2

チャイコフスキー:「懐かしい土地の思い出」〜瞑想曲

アイザック・スターン(ヴァイオリン独奏)
ナショナル交響楽団
(ワシントン、ケネディ・センター、米CBSスタジオ録音)

同日の協奏曲録音と同じで、旋律をじっくり歌いあげて、鄙びた哀愁ではなく、線の太い音楽的な表現にまとめています。


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