小沢征爾の録音(〜1979年)
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
イツァーク・パールマン(ヴァイオリン独奏)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー・ホール)パールマンのヴァイオリンが素晴らしい出来です。パールマンの音色は透明感のある硬質の響きですから・低音の厚みにはちょっと不足するところはあると思いますが、実にテクニックの斬れが良いのです。これがブルッフの曲にマッチして・そのみずみずしい感性が魅力的です。第1楽章は豪放でいて・すみずみまで神経の行き届いた繊細さも兼ね備えており、舌を巻くような巧さです。第2楽章は旋律を息長くじっくりと歌い上げて、透明なリリシズムを感じさせて・まさにパールマンの独壇場です。第2楽章が終わると聴衆から拍手が起こるのも無理からぬと思います。全体に早めのテンポを撮った小沢の指揮も見事です。パールマンとがっぷりと四つに組んで、爽やかさと若々しさに満ちた演奏を展開しています。