マウリツィオ・ポリーニの録音
ショパン:24の前奏曲
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)
(東京、サントリー・ホール)24曲全体をひとつの流れで捉えて一気に描き上げた感があり、特に印象に残るのがポリーニの暖かな人柄が感じられる奇数番の長調の曲です。そこに偶数番の短調の曲が挟まってアクセントを付けて行くわけですが、奇数・偶数でコントラストを強く付けると云うのではなくて、ひとつの流れのなかの微妙な揺れのような感じでそれがあると云うことでしょうか。したがってスケールが大きい演奏と云うことでなく、内省的にショパンのイメージの世界を探って行く心の旅のような趣がします。派手さはないけれども、じっくりした味わいの深い演奏であると思います。