ミシェル・ダルベルトの録音
シューマン:謝肉祭
ミシェル・ダルベルト(ピアノ)
(東京、すみだトリフォニー・ホール)「謝肉祭」のアプローチとして、なかなかユニークな演奏です。全体として内に凝縮しようとする力を感じさせ、密度が高い表現となっています。シューマンのメランコリックで物語的な流れを追求するのではなく、旋律線とリズムの打ちが強めにして、むしろ「謝肉祭」の論理的な構造を追求したという感じでしょうか。第1曲・前口上や最終曲・フィリシテ人と闘うダヴィッド同盟の行進などは実に堂々として力強く聞かせますが、第4曲・高貴なワルツや第12曲・ショパンなどは旋律線が強めであまりアンニュイな雰囲気がなくて、人によってはシューマンらしくないと不満を言う方がいそうな感じもあって、そこが評価の分かれるところかも知れませんが、がっちりした構成力を感じさせる「謝肉祭」という新しい可能性に挑戦したところは評価できると思います。
ショパン:幻想曲 へ短調 op.49、ドビュッシー:映像第1集、フランク:前奏曲 コラールとフーガ、ドビュッシー:ベルガマスク組曲〜月の光、ドビュッシー:組曲「子供の領分」、ショパン:前奏曲 嬰hハ短調 op.45, リスト:超絶技巧練習曲 第10番 へ短調
ミシェル・ダルベルト(ピアノ)
(東京、浜離宮朝日ホール)