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クラウスの録音


○1950年6月

R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウィーン、音楽友協会大ホール、英デッカ・スタジオ録音)

テンポが早めで演奏に勢いを感じます。冒頭部など線が太めで・一気に曲を描き抜くような熱気を感じます。その反面、やや一本調子みたいなところも確かにあります。叙情的・繊細な表現においては一歩譲るところはありますが、そこはウィーン・フィルの柔らかな響きに助けられているようです。


○1951年4月、52年5月、53年12月

ヨハン・シュトラウスU:アンネン・ポルカ、ポルカ「町と田舎」、ワルツ「芸術家の生活」、ワルツ「ウィーンの森の物語」、ワルツ「春の声」、ワルツ「美しく青きドナウ」
ヨゼフ・シュトラウス:ワルツ「オーストリアの村つばめ」、ワルツ「我が人生は愛と喜び」、ワルツ「天体の音楽」

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウィーン、楽友協会大ホール、英デッカ・スタジオ録音)

どこか「正調」と呼びたくなるような、飾り気のない素朴な味わい。ウィーン市民の生活のなかに根ざした音楽の御来の味わいと温もりを感じさせます。ちょっと遅めのゆったりしたテンポと、野暮ったい感じさえするゴツゴツとした感触の弦の節回し、ひなびた素朴な木管の響きは懐かしささえ感じさせます。ウィーン風のワルツのテンポは2拍目がちょっと引っ掛かる感じだと言いますが・ここではアッサリしたもので、そんな「らしさ」など強調しなくても正真正銘の本物という感じなのです。特にポルカではそのゆったりした優雅なリズムの取り方が、ポルカというのは本来はメヌエットに近い感じの舞曲なのだということも思い出させてくれたりします。


○1953年6月30日

R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」

ピエール・フルニエ(チェロ独奏)
エルンスト・モラべック(ヴィオラ独奏)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウィーン、音楽友協会大ホール、英デッカ・スタジオ録音)

テンポが早めで、線が太い印象です。展開していく情景の変化がめまぐるしく・一気に駆け抜けていくような勢いがあり、密度が高い演奏だと思います。しかし、その一方で洒脱な遊びの感覚にはちょっと乏しいのは否めません。フルニエのチェロ独奏が軽妙で生き生きとした動きが素晴らしく、そこを救っていると思います。


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