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カラヤンの録音(1963年)

1963年10月13日:新しいベルリン・フィルハーモニー・ホールのオープニング・コンサートでベートーヴェン:第9交響曲を指揮。


○1963年4月9日・10日・11日ー1

モーツアルト:交響曲第41番「ジュピター」

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウィーン・ゾフィエン・ザール、英デッカ・スタジオ録音)

歌い回しに力みがなくレガートが掛かった優美な演奏です。ウィーン・フィルの柔らかい弦と木管の美しさが生きています。各楽章とも十分に納得できる美しい演奏なのですが、しかし、全曲通して聴くと同じトーンで貫かれているせいか、構成力に不足しやや単調に聞こえる気がします。

全体にゆったりしたテンポで優美極まりない演奏ですが、どこか軟体動物的な感じもあって不思議な雰囲気を感じます。しかし、同じモーツアルトでも第40番(59年録音)の場合と違ってウィーン・フィルの弦のレガートが甘く鼻につく感じがちょっとするのは、曲との相性にもよるのかも知れません。この曲にはもう少し毅然としたところが求められるようです。


○1963年4月9日・10日・11日ー2

ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウィーン・ゾフィエン・ザール、英デッカ・スタジオ録音)

実に小粋なハイドンだと思います。全体のテンポはやや早めで・流麗ですが、リズムの刻みの軽やかさが魅力的です。ウィーン・フィルの弦が透明で涼しく、しかもよく歌います。特に前半の第1〜2楽章の美しさが印象に残ります。後半・第3〜4楽章もスケールが大きい表現なのですが、リズムが重くならず・音楽が軽やかに流れます。モダンオーケストラならではのロマンティックさがあるのですが、その甘さが舌に残らない感じなのです。


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