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1988年録音


○1988年1月22日ライヴ

シューマン/ラヴェル編曲:「謝肉祭」からの3曲

ネヴィル・マリナ―指揮
シュトットガルト放送交響楽団
(シュトットガルト、ベートーヴェン・ホール)

珍しいラヴェルの編曲版で、前口上、ドイツ風舞曲〜間奏曲「パガニーニ」、フィリスティンたちを討つダヴィッド同盟の行進の三曲。原曲にオケの表現志向を内に秘めたような感じがあるので、ラヴェルが編曲意欲をそそられたのは分かる気もするが、ピアノの目まぐるしい動きをオケで再現しようとすると若干苦しいところがあるようです。ドイツ風舞曲はもう少し弦に厚みを持たせて欲しいなあと思うところあり、管楽器に軽やかな動きがあれば、ピアノとは違った魅力が出るような気もするが、聴き手にピアノ曲のイメージが強いとちょっと損なところがあるようです。シュットットガルト響はもう少し響きに色彩感が欲しいのと、旋律の歌い回しにもう少し遊びが欲しい気がします。


○1988年1月28日ライヴ

モーツアルト:ピアノ協奏曲第20番

ラドゥ・ルプー(ピアノ独奏)
コリン・デービス指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ザルツブルク、ザルツブルク祝祭大劇場、ザルツブルク・モーツアルト週間)

ルプーのピアノは暖かみと柔らか味を帯びたタッチが魅力的です。音楽がふっくらとしていて、旋律の歌い方が実にナイーヴで美しいと思います。特に第1楽章のカデンツァを含む後半部分と第2楽章は魅力的です。しかし、旋律線が明快なデービスの指揮とは若干感触が異なるようにも思われます。デービスはテンポを早めにとって・高弦の旋律線が強めで、悲劇性を秘めたような厳しい造型です。ルプーとの共演が成功しているのは第2楽章でしょう。テンポやや早めななかに淡い抒情が漂っており、ルプーのソフトなタッチが生きています。


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