べームの録音 (1966年)
シューベルト:交響曲第5番
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会、独グラモフォン・スタジオ録音)インテンポですっきりとした造型で、古典的な佇まいを感じさせるシューベルトです。第1楽章はテンポが軽やかで、流れるように旋律が歌われます。ベルリン・フィルの引き締まった響きがベームの無駄のない造型によく合っています。第4楽章も表現に柔軟性があって、魅力的です。
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ダーレム、イエス・キリスト教会、独グラモフォン・スタジオ録音)同じ時期の録音である第5番の古典的な演奏の雰囲気とはガラリと変って、第8番の演奏は甘くロマンティックに描かれ勝ちな曲のイメージに意識的に背を向けた厳しい表現です。特に第1楽章はテンポを遅くとって・深刻な表情の重い足取りです。 二コリとした表情をまったく見せない・とても抑制の効いた音楽作りです。 この時期のベームのイメージそのままという感じです。しかし、この厳しい表現にはちょっとハッとさせられるようなところがあります。一方で第2楽章では引き締まった歌い上げのなかから透明な叙情が立ち上ってくるかのようです。