バーンスタインの録音(1974年)
マーラー::交響曲第2番「復活」
シーラ・アームストロング(ソプラノ独唱)
ジャネット・ベーカー(アルト独唱)
ロンドン交響楽団
エジンバラ音楽祭合唱団
(イギリス、イーリー、イーリー大聖堂、CBSスタジオ録音)ロンドン響は反応が鋭く、響きは細身ですが、輪郭がはっきりした造形で、見通しが良い演奏になっています。反面、若干硬質で冷たい感じもします。バーンスタインがロンドン響を起用した理由はよく分かりませんが、少なくともこの曲ではロンドン響に起用がプラスに作用していない感じがします。バーンスタインのマーラーには、もう少し粘りのある太い響きの方が似合ったような気がします。テンポは全体に早めですが、どこかスッキリ整理されている感じがして、衝撃度や熱気に欠けるようなところがあります。決して悪い演奏ではないのですが、バーンスタインの、この曲の3種の公式録音のなかでもこの録音の存在感が薄いのは、そのせいかも知れないと思います。その意味では成功しているのは、むしろ第2・3楽章かも知れません。バーンスタインが熱くなりそうな箇所で、早めのテンポでスッキリした客観的処理に感じられて、ちょっと興味深い感じがします。独唱陣が悪くないですが、合唱は淡泊で共感が薄いように感じられます。
マーラー:交響曲第10番〜アダージョ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウィーン、ユニテル製作によるライヴ)テンポは心持ち速めですっきりした表現で、マーラーの揺らぐ・病的な感性を感じさせてくれない不満があります。この曲には調性を逸脱しようとする瞬間があると思いますが、バーンスタインはあくまで調性音楽の視点で捉えている感じで危なげはなく・聴き易いのですが、精神の微妙な震えが感じられません。ウィーン・フィルの弦ももう少し繊細さが欲しいところで、曲に対する共感が弱い感じです。