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アバドの録音 (1999年)


○1999年2月18日ライヴ

モーツアルト:ピアノ協奏曲第27番

マウリツィオ・ポリー二(ピアノ独奏)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー・ホール)

印象的なのはまず全体の音楽の作りが重厚かつ骨太であることです。リズムはちょっと重めですが・鈍重な印象はまったくなく、むしろリズムが深く取れて・旋律がじっくり歌われて音楽が深いと感じられます。軽やかなテンポで明るいモーツアルトも素敵ですが、こういうベートーヴェンに通じるような味わいのあるモーツアルトもまた良ろしいものです。ポリー二のピアノは渋めの音色ですが、タッチのひとつひとつが意味を以って響くような・落ち着いた出来です。時に音楽に合わせたうなり声も聞かれますが、それだけ音楽に没入した熱のある演奏ということかと思います。アバドの伴奏はソリストと四つに組むというものではなく・ピアノをそっと包み込むような安心して聴ける音楽作りです。ベルリン・フィルは渋めの響きですが、それだけに第2楽章のゆったりした味わいが素晴らしいと思います。両端楽章も軽やかなリズムで聴き手を沸き立たせるようりも・むしろゆったりした足取りで、落ち着き過ぎるくらいの風格を感じさせます。


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