アバドの録音 (2006年)
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ独奏)
ルツェルン祝祭管弦楽団
(ルツェルン、ルツェルン・コンサート・ホール)気の合ったコンビだけに・いつもながら安定したブラームスを聴かせてくれます。印象的なのはオケの響きの明るいさ・軽やかさで、爽やかで・明晰なブラームスに仕上がっていることです。ロマン性の濃いブラームスとはちょっと違った印象が興味深く感じられます。録音のせいかも知れませんが、ピアノが前面に出ており・オケがやや小振りに感じられるようです。重苦しくない・タッチが軽めの斬れの良いブラームスなのです。ポリー二のピアノはややタッチが粗い感じがしますが、粗削りのライヴの迫力があるとも言えます。特に第1〜2楽章はアバドとの息が合って見事な演奏に仕上がりました。
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンチック」
ルツェルン祝祭管弦楽団
(ルツェルン、ルツェルン・コンサート・ホール)全体として基調のテンポは速めで・曲の流れが流麗に感じられます。第1楽章はもうちっと遅めの方が良いかなとも思いますが、耳慣れればこれも心地良く感じられます。曲想に則して緩急を大きくつけていますが、流れがスムーズなので・作為性がそれほど感じられません。この演奏で感心したのは音楽に揺らぎ・移ろいの感覚があることです。旋律線は大事にされていますが、テンポに微妙な伸縮があり・また描線が意識的に淡い感じにボカされているせいかと思います。オケの響きは明るめで透明なのもここでは良い方に作用しています。第2〜3楽章ではスムーズな流れのなかに揺らぎの感覚が生きており、どことなく癒し感覚があるのが興味深いところです。