アバドの録音 (2003年)
マーラー:交響曲第2番「復活」
エチェリ・グヴァザーヴァ(ソプラノ独唱)
アンナ・ラルソン(アルト独唱)
オルフェオン・ドノステイアルラ(合唱)
ルツェルン祝祭管弦楽団(
ルツェルン、ルツェルン・コンサート・ホール)久しぶりにアバドの若々しさが戻ってきた感じです。90年代にベルリン・フィルを振っていた頃のマーラーは線が太くなって・内省的でオーソドックスなマーラーを振る印象が強かったですが、ここでは線がシャープで引き締まった・それ以前の若い頃のアバドに戻った印象です。造型が引き締まった分・スケール感や響きのゴージャス感は少なくなりましたが、これはオケの個性によるものでしょう。重量感には欠けますが 、ルツェルン祝祭管の弦の響きは軽くて透明感があり、音楽のカロリー制限がされているようでもあります。全体にテンポを心持ち速めに、響きをすっきりと取っています。終楽章に至るまでの流れが重くならず、スムーズに流れます。第1楽章も過度に重くなることがありません。中間の第2・3楽章は自然で無理な力がかかっておらず 、柔和な流れが魅力的です。そのままスーッと終楽章に流れ込んでいく感じです。終楽章もぐっと深いインパクトがあると言うよりも、あくまで自然で温和なのです。ベルリン・フィル音楽監督という重責を離れたアバドの心境変化を感じさせます。