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トゥリオ・セラフィンの録音


○1954年9月20日、21日

マリア・カラス:「リリック&コロラトゥーラ・アリア集」
チレア:歌劇「アドリア―ナ・ルクヴルール」〜「私はいやしい召使です」、「哀れな花よ」、ジョルダーノ:歌劇「アンドレア・シェ二エ」〜「亡くなった母を」、カタラーニ:歌劇「ワリー」〜「さようなら、ふるさとの家よ」、ボイート:歌劇「メフィストーフェレ」〜「いくつかの夜、暗い海の底に」、ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」〜「今の歌声は」、マイアベーア:歌劇「ディノーラ」〜影の歌、ドリーヴ:歌劇「ラクメ」〜若いインド娘はどこへ(鐘の歌)、ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」〜「ありがとう、愛する友よ」

マリア・カラス(ソプラノ独唱)
フィルハーモニア管弦楽団
(ロンドン、ワトフォード・タウンホール、英EMI録音)

カラスの集中力が素晴らしく、一曲一曲のアリアのなかにドラマを濃縮させます。カラスの声は決して美声とは云えないと思いますが、歌唱の生々しさで、コロラトゥ―ラの難曲から引き裂かれた感情を引き出してみせて、ハッとさせられます。「鐘の歌」のような装飾的な曲でも、綺麗綺麗の表面的な歌唱に決して終わらないのです。もちろんリリック系のマッダレーナ(アンドレア・シェ二エ)、エレーヌ(シチリアの晩鐘)でも、モノローグ・ドラマのような密度の高さを見せてくれます。セラフィンのサポートがこれまた素晴らしい。リズムが斬れていて、カラスの自在な歌い回しに完全につけています。


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