(戻る)

ムラヴィンスキーの録音(1940〜50年代)


○1946年11月4日

ショスタコービッチ:交響曲第6番

レニングラード・フィルハーモニー交響楽団
(レニングラード、メロディア・スタジオ録音)

第1楽章の緊張感ある・線の鋭い音楽作りが印象的です。響きのひとつひとつが聴き手に突き刺さってくるように感じられます。第2〜3楽章になるとテンポが速く・リズムを鋭角的に深く切り込んで、音楽が一層冴えてくる感じです。全体の構成がしっかり見通されていて、オケのダイナミックな動きが素晴らしく、それでいて音楽の密度がとても高い演奏に仕上がっています。


○1950年1月20日

ブラームス:交響曲第1番

レニングラード・フィルハーモニー交響楽団
(レニングラード、メロディア・スタジオ録音)

ムラヴィンスキーのブラームスの第1番の演奏は少なくて、生涯で5回しか指揮していないそうです。録音のせいでしょうが、高音の伸びがよく録れていないようですが、両端楽章にムラヴィンスキーらしいスケールの大きさがあるものの、表現がやや硬い印象があるのは、時代性を感じるところです。ムラヴィンスキーがあまり弱音を強調しないので、表現のダイナミクスの幅が小さく感じられるのが損なところです。後年70年代のムラヴィンスキーのブラームス演奏に見られるような、旋律の粘り・しなりのようなものは、この時代にはまだないようで、ムラヴィンスキーのなかで解釈がまだ十分にこなれていないような印象を受けてしまいます。特に中間楽章にそうした不満があります。、


○1954年4月3日

ショスタコービッチ:交響曲第5番

レニングラード・フィルハーモニー交響楽団
(レニングラード、メロディア・スタジオ録音)

スタジオ録音であり・比較的初期の演奏であることもあるでしょうが、全体にスケールはやや小さめの印象がありますが・どことなく若々しさが感じられるストレートな印象で・表現が凝縮された感じです。神経の研ぎ澄まされた・硬質で鋭角的な表現は晩年になっても共通したものです。オケは相変わらず精度が高い演奏を聴かせます。第1楽章は特に素晴らしく、響きの塊が聴き手にぶつかって来るような印象を受けます。時代への不安感というようなものが強烈に出ています。第2楽章はマーラー的なカリカチュアの遊び感覚はなく、もっとストレートな表現に感じられます。第4楽章はオケのダイナミックで緊張感で素晴らしいと思います。


(戻る)