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メトロポリタン歌劇場 (2000年〜2010年)


〇2009年1月10日ライヴ

プッチーニ:歌劇「つばめ」

アンジェラ・ゲオルギウ(マグダ)、ロベルト・アラーニャ(ルッジェーロ)、リゼット・オロペーサ(リゼット)、マウリシュ・ブレンシュー(プルニエ)、サミュエル・レイミー(ランバルド)
マルコ・アルミリアート指揮
メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
(ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場管弦楽団、ニコラス・ジョエル演出)

もともとプッチーニがオペレッタを書くつもりで出来たオペラで、プッチーニの作品のなかでは人気がないようですが、音楽はとても魅力的で、ジョエルの舞台は白銀時代のウィーン・オペレッタの雰囲気を彷彿とさせて素晴らしい。歌手はオロペーサのリゼットとブレンシューのプルニエが生き生きとした歌唱で聞かせます。アラーニャも真面目な田舎青年を好演しています。ゲオルギウは舞台姿がとても魅力的ですが、当日は事前に風邪気味とのアナウンスがあったせいか、声量と声の伸びに若干の不満が残ります。アルミリアートの指揮はよくまとめていますが、第2幕の舞踏会の場面はもう少しテンポに緩急持たせた方が面白くなりそうな気もしますが。


〇2010年1月16日ライヴ

ビゼー:歌劇「カルメン」

エリーナ・ガランチャ(カルメン)、ロベルト・アラーニャ(ドン・ホセ)、
バーバラ・フリットリ(ミカエラ)、テディー・タフ・ローズ(エスカミーリョ)
ヤニック・ネゼ=セガン指揮
メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
(ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場管弦楽団、リチャード・エア演出)

リチャード・エア演出の「カルメン」は前年2009年12月31日がプレミアで、これはネゼ=セガンのメット・デビューでもありました。歌唱はアラーニャのドン・ホセが声の艶もあって演技も良く魅せてくれます。第2幕の花の歌など圧倒的に素晴らしい。次に良いのは、フリットリのミカエラで、これも第3幕のアリアが情感豊でとても素晴らしい。ガランチャは見た目が美しく・演技もなかなか達者ですが、歌唱はちょっと表面的にまとまり過ぎた感じで、妖艶さがいま一つ。ローズのエスカミーリョは渋い感じに仕上がって、なかなかよろしい。ネゼ=セガン指揮の管弦楽もリズムに活気があって、なかなか見事な出来です。


○2010年12月11日

ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」

ロベルト・アラーニャ(ドン・カルロ)、マリーナ・ポプラフスカヤ(王妃エリザベッタ)
フェルッチオ・フルラネット(国王フィリッポ二世)、サイモン・キーンリーサイド(ロドリーゴ)
アンナ・スミルノヴァ(エボリ公女)
ヤニック・ネゼ=セガン指揮
メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
(ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場管弦楽団、ニコラス・ハイトナー演出)

男性歌唱陣が充実して聴き応えがします。まず素晴らしいのは、声が澄み切って性格描写も適格なアラーニャのドン・カルロです。フルラネットは全盛期が過ぎたが、ベテランの味を見せて演技も良いです。キーンリーサイドはもうちょっと声の伸びが欲しいところだが、ロドリーゴの実直なところをよく見せました。女性歌唱陣ではポプラフスカヤのエリザベッタは清純なところを見せて、よく頑張っています。スミルノヴァのもう少し声の斬れが欲しいところで、エボリ公女のエキセントリックな性格をいまひとつ描写し切れなかった感がありますが、ともあれこれだけの歌手を揃えてスケールの大きい舞台演出も含めてトータルで高水準の公演が打てるのは、さすがメットです。ネゼ=セガンの指揮も手堅いところを見せています。


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