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マゼールの録音(1980年以前)


○1968年

マーラー:歌曲集「亡き児をしのぶ歌」

ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ(バリトン)
ベルリン放送交響楽団
(ベルリン、ベルリン放送スタジオ収録)

若々しいディースカウの声が魅力ですが、端正ななかにも、細やかな情感が感じられて、聴けば聴くほど感じ入ります。アルト歌唱と違って、理知的で抑制が効いた歌唱という印象ですが、息が深く取れているので、自然と曲のなかに入り込んでしまいます。どの曲も素晴らしいですが、第1曲「いま晴れやかに陽が昇る」、第3曲「きみのお母さんが戸口から入ってくるとき」などは旋律の豊かな息遣いが特に素晴らしいと思います。マゼールの指揮も見事なサポートです。足取りがしっかりとれていて・形がかっきりしているのですが、勘所では息を大事にして 、テンポに余裕を持たすあたりが実に手に入ったものです。


〇1977年

リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シエラザード」

クリーヴランド管弦楽団
(クリ―ヴランド、セヴェランス・ホール、英デッカ・スタジオ録音)

色彩的かつ細部まで造型が行き届いた好演だと思います。テンポは速めで、オケの響きが透明で色彩的でとても美しい。音絵巻が極彩色のパノラマのように幻想的に展開していきます。マゼールの語り口の巧さが際立ちます。クリ―ヴランド管のソロも情感たっぷりに聴かせて、上手いものです。弦の響きが透明で、感触がとても滑らか、かつ軽やかです。


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