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レヴァインの録音 (2010年〜  )


○2010年10月9日ライヴ

ワーグナー:楽劇「ラインの黄金」

ブリン・ターフェル(ヴォータン)、リチャード・クロフト(ローゲ)、エリック・オーウェンズ(アルベリッヒ)、ステファニー・ブライス(フリッカ)、フランツ=ヨゼフ・ゼリック(ファーゾルト)、フランツ=ペーター・ケーニヒ(ファーフナー)、ウェンディ・ブリン・ハーマー(フライア)、ドウェイン・クロフト(ドンナー)
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
(ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場、ロベール・ルパージュ演出)

ルパージュ演出で目を惹くのは、二十数枚の舞台板をコンピュータで連動させて操作して上下動させる、スタッフが「マシーン」と呼ぶ、METならではの非常に大かがりな舞台装置です。これが音楽に合わせて舞台の様相を変えて行くのが、視覚的に楽しませてくれます。歌手陣も優れていますが、素晴らしいのは威厳あるターフェルのヴォ―タン、歌唱に深みがあります。オーウェンズのアルべリッヒもなかなか存在感があって良い出来です。レヴァインの指揮はさずがに手慣れたもので、安心して聴けます。


○2011年5月14日ライヴ

ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」

デボラ・ヴォイト(ブリュンヒルデ)、ブリン・ターフェル(ヴォータン)、ステファニー・ブライズ(フリッカ)、エヴァ=マリア・ウェストブルック(ジークリンデ)、ヨナス・カウフマン(ジークムント)、ハンス=ペーター・ケーニヒ(フンディンク)
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
(ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場、ロベール・ルパージュ演出)

前作「ラインの黄金」よりもこの「ワルキューレ」では、ルパージュ演出での連動する舞台板での表現が一段と雄弁になり、変化に富んで面白いものになりました。歌手はいずれも粒揃いで聴かせますが、特に第1幕でのカウフマンのジークムントとウェストブレークのジークリンデは繊細かつ人間的な温かさが感じられる歌唱で、ひときわ印象に残るものになりました。第3幕でのターフェルのヴォ―タンと 、ヴォイトの初役のブリュンヒルデも、その力強く張りのある歌唱が素晴らしく、これも聴き応えがしました。レヴァインの指揮の素晴らしさは云うまでもありません。


〇2013年12月14日ライヴ

ヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」

アンブロージョ・マエストリ(ファルスタッフ)、アンジェラ・ミード(アリーチェ)、ステファニー・ブライズ(クイックリー夫人)、ジェニファー、ジョンソン・キャーノ(ページ夫人)、リゼット・オロペーサ(ナンネッタ)、パオロ・ファナーレ(フェントン)、フランコ・ヴァッサッロ(フォード)他
メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
(ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場、ロバート・カーセン演出)

カーセン演出は時代設定を1950年代として、とても分かりやすく大人数の場面も上手く整理してコミカルに処理しました。舞台装置の細かいところまで行き届いて、しかもスケールが大きいところは、さずがにMETです。マエストリのファルスタッフは当たり役だけに、役の細部まで知り尽くしたベテランの演技と歌唱で聴衆を引き付けます。大らかで人の好いファルスタックを陽気に演じています。女性陣はすべてMETで育ったアメリカ出身の歌手たちですが、息が合った演技を見せますが、歌唱はやや大振りなところがあるような気がしますが、レヴァインの手慣れた指揮と曲の陽気さですべて許せます。


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