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ダニエル・ハーディングの録音 


○2004年12月4日ライヴー1

ベートーヴェン:「アテネの廃墟」序曲

マーラー室内管弦楽団
(東京、サントリー・ホール)

オーソドックスなアプローチだと思いますが、室内オケを使うならばもう少し速めのテンポで押しても良いのではという気がします。録音のせいもあると思いますが、響きは低音のバランスが強めで重い感じで、小編成の意味 があまり感じられません。


○2004年12月4日ライヴー2

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

マーラー室内管弦楽団
(東京、サントリー・ホール)

全体としてオーソドックスなアプローチでまずまずの出来だと思いますが、若手主体のオケにはよくあることですが・リズムの取り方が浅い不満を感じます。テンポの速い楽章ではさほど目立ちませんが、第2楽章や第4楽章ではその欠点が顕わに聴こえます。だから音楽がサラサラ上っ面で流れて、深い感動を呼び起こしません。旋律を息深く歌えていないということです。もうひとつは響きのバランスが低音の方に寄って重く、小編成オケならばもう少し木管の音が抜けるような透明な響きが欲しいと思います。どちらかと言えば大編成オケ向きのアプローチに思われて、解釈が中途半端に感じます。


○2009年10月17日ライヴ

R.シュトラウス:交響詩「死と変容」

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ベルリン、ベルリン・フィルハーモニー・ホール)

「死と変容」は曲の構成を緊密に取らないと・印象が散漫になる危険がありますが、ハーディングはそこのところを手堅く引き締めて良い演奏に仕上げたと思います。ベルリン・フィルをよく統率して曲の流れがきっちりと押さえられた演奏だと思います。


○2010年4月2日ライヴ

ブラームス:ドイツ・レクイエム

ヘルヴィ・マルティンペルト(ソプラノ)
マティアス・ゲルネ(バリトン)
アーノルド・シェーンベルク合唱団
マーラー室内管弦楽団
(フィレンツェ、コムナーレ劇場)

テンポをしっかり取って難度の高い曲を手堅く締めた手腕はなかなかのものですが、合唱の扱いは課題が残ります。リズムの刻みが浅く、合唱の息の深さを十分引き出せていません。 そのため音楽が小さくまとまった感じです。ほんのちょっとの息の差ですが、これは経験を重ねるしかありません。アーノルド・シェーンベルク合唱団は優れたコーラスですからその辺の不満をあまり感じさせませんが、第2曲「人はみな草の如く」や第3曲「主よ知らしめたまえ」の後半部分などでは表現が平板 に感じられます。総じてテンポが遅い部分が良く、やや早めの場面 では音楽を管弦楽で引っ張ろうとするところが見えてその為かえってスケール感を損ねています。


 

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