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2020年録音


〇2000年3月12日ライヴ

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」、交響曲第6番「田園」

フィラデルフィア管弦楽団
(フィラデルフィア、セヴェランス・ホール、無観客による演奏会)

世界的な新型コロナ感染拡大のため、世界中のコンサート・ホールが閉鎖に追い込まれていますが、フィレデルフィア管は12日の演奏会を無観客で行なうこととして、をの模様をYoutubeで配信したものです。ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管のベートーヴェンは、悪い意味で云うのではなく、如何にもアメリカ的な陽性のベートーヴェンです。音色が明るくはっきりしており(やや原色的であるがカラフルとも云える)、旋律線・特に高弦が明確で(時にキンキン響く感じもするが、エッジが立っていて表現に斬れがある)、リズム感があるので・ぐいぐいと聴き手を引っ張るドライヴ感覚が凄い。聴きつけているヨーロッパ的なベートーヴェンとはまったく別物と云う印象ですが、スコアにある音符が思いっきり爽快に鳴り響いて自己を主張している快感があります。例えばそれは第5番の両端楽章の快速なテンポで畳み込んでいく加速感を伴った迫力、或いは第6番の最終楽章の速めのテンポでの旋律の伸びやかな歌いまわしに、フィラデルフィア管の長所が良く出ているようです。フィラデルフィア管が素晴らしいのは、テンションの高さを最後まで持続させていることです。ただし第6番の緩徐楽章においては、ややリズムが先走り気味でもう少しテンポを遅く取って旋律をじっくる歌わせた方がバランス的に良かったかも知れません。第5番冒頭部は急いた印象もあってもう少し余裕が欲しい気がしますが、たまたまコロナ・ウイルス騒動の最中であることもあり、この憤りをどこにぶつければよいのかと云う気分が演奏に表れているようにも感じされて、聴き手の心にぐいぐい突き刺さって来るものがあります。同様に最終楽章は力強い表現で、勇気付けられるものがあります。また第6番・最終楽章の自然への感謝は、そのままコロナ災禍のなかにある世界中の人々に共有されるべきものです。


 

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