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1963年録音


○1963年4月ライヴー1

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
ベルリン国立管弦楽団
(ベルリン、ベルリン国立歌劇場、フェスト・ターゲ1963)

これは好演。冒頭から風格を感じさせるオイストラフのヴァイオリンが実に音楽的で素晴らしい聴きものです。余計な装飾をほどこさず・派手な技巧をひけらかすことなく、旋律の語り口が簡素でいて・線が太く・情実を余すことなく描き切っていて・それだけで確かにその通りであると感じさせます。これはリズムがしっかり取れて 息が深いからでしょう。この曲のソロとして模範的なものだと思います。じっくりして・決してはやることのないテンポも説得力があります。ロジェストヴェンスキーの指揮するベルリン・シュターツカペレも引き締まった造型で・甘い感じがなく、オイストラフのソロをよく引き立てています。


○1963年4月ライヴー2

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番〜第2楽章

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
ベルリン国立管弦楽団
(ベルリン、ベルリン国立歌劇場、フェスト・ターゲ1963)

アンコールのバッハの協奏曲でもオイストラフのヴァイオリンは実に簡素・かつ深い語り口を聴かせます。そこから厳粛な悲壮感が湧き上がります。音楽の造型がしっかりしていて・安定感が抜群です。


○1963年9月17日ライヴ

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

キリル・コンドラシン指揮
ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ独奏)
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
(ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール)

曲自体がムード音楽的な甘さを多く含んでいるだけに努めて客観性を保とうとしているようで、テンポをイン・テンポに早めにとって思い入れを入れず・過剰な甘さを避けています。こうなるとサラリとしずぎて・情感的に若干取りこぼす場面があって、もう少し歌って欲しいと思うところもありますが、そのバランスが難しいところです。全体としてはクラシック音楽の協奏曲としての品格と厳しさを持った演奏だと言えます。アシュケナージのソロはコンドラシンのコンセプトによく沿ったもので、テクニックが見事なのはもちろんですが・しっかりと制御された厳しさの感じられる造型で聴かせます。


 

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