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1955年録音


○1955年3月15日・21日

シューマン:交響曲第4番

グィド・カンテルリ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
(ロンドン、キングス・ウェイ・ホール、EMI・スタジオ録音)

フィルハーモニア管の響きが明るく色彩的なのを生かして、テンポを速めにして・あまりテンポを揺らさず、しかし、手綱に若干の余裕を持たせたカンテルリの手腕の巧みさを感じます。古典的な風格のなかに淡い情感が漂う演奏に仕上がっています。第2楽章の明るく爽やかな叙情性にカンテルリの良さが出ているようです。


○1955年8月

メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」

グィド・カンテルリ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
(ロンドン、キングスウェイ・ホール、EMI・スタジオ録音)

この曲にはトスカニーニの名演もありますが、それとは別の魅力を持つ名演だと思います。テンポはトスカニーニほど早くはなく・むしろ中庸のテンポですが、第1楽章からリズムのみずみずしさ・旋律の柔らかさなど、ふっくらとしたロマン的な美しさを湛えていて、引き締まった古典的な美を感じさせるトスカニーニとは全く違った魅力があります。「イタリア」は第1楽章の印象が鮮烈過ぎて・後半の曲の出来がいまひとつと感じることが多く・実はトスカニーニも例外ではないですが、カンテルリの演奏では後半も素晴らしいと感じられます。第3楽章はゆったりした構えに・旋律が実によく歌います。さらに感心するのは第4楽章で強引なところがまったく無くて、音楽の大きさが自然に現れています。この交響曲全体の納まりがぴったりと付いているのです。この辺がカンテルリの巧いところだと思います。


○1955年8月16日

ブラームス:交響曲第3番

グィド・カンテルリ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
(ロンドン、キングス・ウェイ・ホール、EMI・スタジオ録音)

テンポはゆったりして・低音を強調して・響きのボリューム感を出しており、なかなか聴き応えのするブラームスです。全体にたっぷりとした印象があります。構成的にもバランスがよく取れていて、第3楽章を淡くあっさりと処理しているのも納得できます。両端楽章は表現に余裕を持たせて、歌心のある・スケールの大きい演奏に仕上げています。


 

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