(戻る)

べームの録音 (1967年)


○1967年4月

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

ウィルヘルム・バックハウス(ピアノ独奏)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(ウィーン、ソフィエン・ザール、英デッカ・スタジオ録音)

バックハウスのピアノは打鍵が強く・重厚な音色で、作り出す音楽の器が実に大きく素晴らしい出来です。特に前半2楽章が優れており、ベームとがっぷり四つに組んだ・火花が散るような緊張感ある演奏が聴けます。ベームの指揮は心持ち早めのテンポで無駄な表現を削ぎ落としたような引き締まった造形が、バックハウスの作り出す音楽によくマッチしています。ウィーン・フィルの響きも力強くて聴かせます。交響曲のように密度の濃い演奏で・構成感があり・音楽を一気に聴かせる勢いがあります。その一方で物憂げなロマンティックな情緒に乏しいのは致し方ないところ。第3楽章は緊張感ある前半の後だけにふっと息をつけるような安らぎがあり・これも良い出来。第4楽章は力強いなかにもどこか余裕を持った音楽作りです。


(戻る)