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アバドの録音 (2002年)


○2002年3月−1

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ザルツブルク、ザルツブルク祝祭大劇場、独グラモフォン・スタジオ録音)

旋律がゆったりしたテンポで息深く歌われて、響きが豊かな演奏です。特に巡礼の合唱の旋律での金管の朗々とした深い響きが印象的です。響きの色合いと混ざり具合に神経を使った演奏という感じがしますが、その為か、結果としては前期のワーグナーの線の太さよりも、トリスタン以降のワーグナーの、響きの移ろいの音楽に近いようなイメージを感じますが、これはこれとしてとても素晴らしく、深みと精神性を感じさせて、良い演奏に仕上がったと思います。


○2002年3月ー2

ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」〜第3幕の音楽
@聖金曜日の音楽、A鳴り響く鐘と騎士たちの入場、Bパルシファルが聖槍を高く掲げる

スウェーデン放送合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ザルツブルク、ザルツブルク祝祭大劇場、独グラモフォン・スタジオ録音)

ゆったりとしてテンポのなかで、響きの色合いの調合に細やかな神経を配った演奏であり、ドラマ性よりも、響きの移ろいのなかに、明滅して揺れる光の帯を見る思いがします。ワーグナー晩年の精神的世界を聴くが如くです。ベルリン・フィルの響きはすみずみまで磨かれて、響きがやわらかで、刺激的なところがまったくありません。スウェーデン放送合唱団(男声)は響きに深みがあって、素晴らしい出来です。


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