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ヘルベルト・ブロムシュテットの録音 


○2011年9月16日ライヴー1

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番

レイフ・オヴェ・アンスセス(ピアノ独奏)
NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

アンスセスの独奏が文句の付けようがない素晴らしい出来です。テクニックは十分・打鍵の強さも魅力的ですが、ラフマニノフのプッシュするリズム感覚を的確に表現していて・聴き応えがある演奏です。冒頭から音楽に聴き手を急き立てるような推進力があって、最後まで息を付かせず聴かせます。第3楽章の打楽器的なリズム感も素晴らしかったですが、第2楽章もじっくり深いところを聴かせてくれました。ブロムシュテットの指揮のN響はアンスセスの独奏に手堅く付けたという印象であり、独奏者とがっぷり四つに組むという熱い感じにはやや乏しいですが、結果的に独奏者をよく引き立てヴィルトゥオーゾ・コンチェルトらしい趣きに仕上がったと思います。オケは第1楽章ではやや独奏に押され気味の感じもしましたが、第2楽章辺りから独奏との呼吸が良くなってきて、第3楽章はなかなか熱気ある見事な演奏になったと思います。
 


○2011年9月16日ライヴー2

チャイコフスキー:交響曲第5番

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

構成感のあるしっかりした手堅い作りで、交響曲として四つの楽章の連関が良く取れています。どこか渋めの古典的な感触があるところもブロムシュテットの実直な人柄が現れていたと思います。ロマン派交響曲としては確かにもう少し旋律にしなり・さらなる歌心が欲しいとか 、感情の迸りが欲しいとか感じないこともありませんが、NHK響の個性ともぴったりしたところがあり、これはこれで十分に納得できる表現に仕上がっていたと思います。


○2018年10月13日ライヴー1

モーツアルト:交響曲第38番「プラハ」

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

通常は28分くらいの曲ですが、楽譜に指定された反復をすべて行っているそうで、演奏時間は40分近く掛っています。全体的にテンポは速め、線が強めで元気が良い演奏ですが、 機能性が先に立つ感じで、N響の弦の響きがきつくて威圧的な印象があり、特に第1楽章は演奏時間が長く感じられます。もう少しリズムの軽やかさと響きの柔らかさを求めたいと思います。第2楽章はすっきり した流れですが、第3楽章はやや勢いが付き過ぎだと思います。


○2018年10月13日ライヴー2

ブルックナー:交響曲第9番(コールス校訂版)

NHK交響楽団
(東京、NHKホール)

プロムシュテットは御年91歳だそうですが、とても若々しい印象のブルックナーを聴かせます。全体的にテンポは速め、響きはシャープで、流れはスッキリして、音楽の流れよりも構成感重視ということでしょう。第2楽章スケルツオでは粗野なリズム感覚を前面に押し出し、全奏も爆発的に強めです。 しかし、N響はややリズムが逸り気味に思われます。全体にインテンポで思い入れを入れないので、響きの色彩の揺らぎがあまりなく、ひたすら勢いで押す印象が強いようです。良く云えば引き締まった造形ということになると思いますが、ブルックナーの場合はもう少し恰幅の大きさを求めたいです。第3楽章も流れが早めで、もう少し リズムの刻みを深く、旋律を息深く歌わってもらわないと、ブルックナーの音楽に没入できない気がしますが、この辺 は好みの問題ということでしょうか。


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